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メディカル物流 2025年11月26日
医療機器の3PLとは?委託で失敗しない物流アウトソーシング会社の選び方

医療機器業界では、物流の品質管理やコスト最適化を目的に、3PL(サードパーティ・ロジスティクス)の活用が進んでいます。

しかし一般的な3PLとは異なり、医療機器3PLには厳格な品質基準や法的要件への対応が求められます。

本記事では、医療機器物流の3PLの基本概念から必要な許可や品質管理基準、委託範囲まで、物流アウトソーシングを成功させるためのポイントを解説します。

 

01.医療機器3PLとは?基本概念と重要性

医療機器の3PLとは、医療機器の保管・配送・在庫管理などの物流業務を専門業者に包括的に委託する仕組みです。

単なる物流業務代行ではなく、品質管理から業務改善提案まで含めた戦略的パートナーシップが特徴です。

 

3PLの基本定義と仕組み

3PL(サードパーティ・ロジスティクス)とは、荷主企業に代わって物流業務全体を一括して請け負うサービスです。

「第三者」として、物流戦略の立案から実行までを担います。

具体的には、倉庫管理、在庫最適化、配送ネットワークの構築、トレーサビリティシステムの導入など、物流プロセス全体を最適化します。

 

医療機器業界における3PLの特徴

医療機器の3PLでは、ISO13485認証に基づく品質管理と医薬品医療機器等法(薬機法)に遵守した運用が必須となります。

一般的な3PLと異なり、クリーンな環境での保管、温湿度の管理、滅菌製品の取扱い、必要業態の取得など、医療機器特有の高度な要件を満たさなければなりません。

たとえば手術用機器や診断装置を扱う場合、わずかな汚染や温度変化も許されないため、専門的な設備と管理体制が不可欠です。

 

 

02.一般物流と医療機器3PLの違い

医療機器業界における3PLは、一般的な物流アウトソーシングとは求められる水準が大きく異なります。

特に品質保証体制と法的要件への対応において、医療機器特有の厳格な基準が適用されます。

 

品質管理基準の違い

一般物流ではコスト削減や配送効率が重視されますが、医療機器3PLでは患者様の安全に直結する品質管理が最優先されます。

 

必要な資格と設備の違い

医療機器の3PLを提供するには、対象業務や取扱い製品により、医療機器製造業許可や医療機器等販売業貸与業許可の取得が法的に義務付けられています。

また、クラス100,000以上のクリーンルームやトレーサビリティシステムなどの設備を有すればより厳格な管理体制となります。

一般的な3PL事業者がこれらの要件を満たすことは難しく、医療機器に特化した専門業者の選定が重要となります。

※クリーンルームのクラスについてはこちらの記事でも詳しく解説しています。

医療機器向けクリーンルームの清浄度(クラス)とは? 構造と洗浄度についてプロが解説

 

 

03.医療機器のクラス分類と必要な許可

医療機器は薬機法により、人体へのリスクに応じて4つのクラスに分類されます。

このクラス分類が、3PL事業者に求められる許可・設備・管理体制を決定します。

 

薬機法に基づく4つのクラス分類

医療機器は患者へのリスク程度に応じて分類され、クラスが上がるほど厳格な品質管理が求められます。

クラス 分類 リスク 製品例
一般医療機器 極めて低い メス、体温計
管理医療機器 比較的低い 血圧計、補聴器
高度管理 比較的高い コンタクト、透析器

高度管理 生命に直結 ペースメーカー

 

必要な許可と管理体制

  • 医療機器製造業登録:すべてのクラスの包装・表示・保管業務に必要。責任技術者の配置が義務。
  • 高度管理医療機器販売業許可:クラスⅢ・Ⅳの販売・貸与に必要。管理者の配置と構造設備基準の遵守が必須。
  • 管理医療機器販売業届出:クラスⅡの販売・貸与に必要な届出。

クラスが上がるほど管理要件は厳格化し、クラスⅢ・Ⅳではより包括的な品質管理体制が不可欠です。

 

 

04.医療機器を扱う3PL企業の委託範囲と選ぶポイント

医療機器の3PLでは、単なる保管・配送だけでなく、医療機器特有の多様な業務を一括して委託できる点が大きな価値です。

特に貸出医療機器を扱う企業では、返却処理から再出荷までの一貫管理が重要になります。

 

保管・在庫管理から配送まで

3PLの基本的な委託範囲には、入荷、検品、保管、在庫管理、ピッキング、梱包、出荷、配送が含まれます。

医療機器の3PLではこれらに加えて、クリーンな環境での保管設備や温湿度の連続監視、トレーサビリティ管理等のサービスがあればより厳格な管理体制となります。

たとえば滅菌済み製品を扱う場合、クラス100,000以上の清浄度環境で保管し、一定温度1・湿度での24時間管理する体制がベストです。

専門的な設備を持つ業者に委託すれば、これらの要件を満たすことができます。

 

洗浄・メンテナンス・返却処理

貸出医療機器やデモ機を扱う企業では、返却後の洗浄・メンテナンス・検査までを3PLに含めることで、業務効率が大幅に向上します。

返却された機器を複数の業者に分散して処理すると、工程間の連携ミスや時間ロスが発生する可能性があります。

たとえば専用洗浄エリアを備え、洗浄からメンテナンス、検査、再出荷までワンストップで対応できる体制を持つ業者に一括委託すれば、リードタイムの短縮と品質の安定化が期待できます。

 

 

05.まとめ

医療機器の3PLの導入には、適切な業者選定と明確な委託範囲の設定が不可欠です。

ISO13485認証、クリーンルーム環境、業態取得など、医療機器特有の要件を満たす専門業者に委託することで、品質向上とコスト削減を同時に実現できます。

株式会社宮岡のメディカル物流サービスでは、ISO13485認証体制のもと、医療機器3PLサービスをワンストップで提供しています。

クラス100,000のクリーンルーム(107坪)、120台以上の自社配送車両、約300名の専門スタッフにより、保管・配送・検品・洗浄・セットアップまで一貫対応が可能です。

また、医療機器製造業・高度管理医療機器等販売業貸与業の資格を保有し、法令遵守と品質保証を徹底しています。

医療機器業界経験を持つ顧問2名が在籍し、お客様の物流課題に合わせた提案型の3PLサービスをご提供しています。

 

物流の外部委託でお悩みの方、3PL導入による効率化・品質向上をお考えの方は、ぜひ[宮岡までお問い合わせ]ください。

初回コンサルティングは無料で承っており、現状の物流課題を詳しくヒアリングした上で、最適な3PLプランをご提案いたします。