医療機器や精密部品などの製造では、「クリーンルームの清浄度」を正しく理解し、工程全体で管理することが欠かせません。
本記事では、クリーンルームの清浄度規格をわかりやすく整理し、製造から配送まで清浄度を維持するためのポイントを紹介します。
クリーンルームとは?清浄度クラスの基本
クリーンルームとは、空気中の微粒子や微生物の量を制御し、一定の清浄度を保つための環境です。
医療機器のように微細な汚染が品質に影響する製品では、この環境が求められます。
清浄度は国際規格ISO 14644-1(JIS B 9920)で定義され、空気1立方メートル中の粒子数(0.5μm以上)により「Class 1~9」に分類されます。
数値が小さいほど清浄度が高いことを示します。
【主な清浄度クラスと用途例】
- Class 6:約35,200個以下(滅菌前工程、精密部品製造、手術室前室)
- Class 7:約352,000個以下(一般医療機器の組立・検査、精密機械の製造)
- Class 8:約3,520,000個以下(食品加工、化粧品の製造、組立・包装・検査工程)
- Class 9:約35,200,000個以下(一般的な作業・オフィス室内環境に相当)
ISOとJISの内容はほぼ同じで、日本国内ではJIS B 9920が対応規格として採用されています。
医療機器における清浄度管理の重要性
医療機器は人体に触れるため、一般的な工業製品よりも厳しい清浄度基準が求められます。
製造時に微粒子や微生物が付着すると、滅菌後でも完全な無菌状態を保てないことがあります。
そのため、ISO 13485(医療機器品質マネジメントシステム)などの基準に基づき、製造工程ごとに清浄度が管理されています。
製造工程では、空調やHEPAフィルターによる気流制御、作業者の服装や入室手順の徹底、定期的な清浄度測定などが行われます。
清浄度管理は「人」「環境」「設備」の三位一体で成り立つ仕組みといえます。
清浄度は製造で終わらない ― 物流でも重要な理由
清浄度の確保は、製造工程だけでは完結しません。
出荷後の保管・梱包・輸送の段階でも清浄度を保つ仕組みが求められます。
滅菌後の医療機器であっても、保管や輸送中に粉塵や湿気が混入すれば、包装内部の清浄度が損なわれる恐れがあります。
つまり、クリーンルームでの管理を維持するためには、「物流段階での清浄度維持」も欠かせないのです。
物流で押さえるべき清浄度管理のポイント
■ 梱包
品質と安全性確保のため、清潔な空間で梱包することが重要です。
作業スタッフは専用のクリーンウェアやマスク、フード等を着用し、エアシャワーで誇りを落としてから作業を行います。
■ 保管環境
倉庫内の空気・湿度・温度が一定でなければ、微粒子の再付着や包装材の劣化が起こります。
空調管理やフィルター清掃、定期測定による環境維持が欠かせません。
■ 輸送・配送
振動や温度変化、外気との接触も清浄度低下の要因です。
防塵仕様の輸送車両や温湿度管理の仕組みを導入し、製造時の品質を医療現場まで守ります。
まとめ
クリーンルームの規格を正しく理解することは、品質保証の基本です。
そして、製造段階で守られた清浄度を出荷後も維持することこそが、真の品質保証といえます。
株式会社宮岡では、医療機器の製造メーカー様の清浄度基準を理解し、物流の立場から「清浄な品質をつなぐ」ことを大切にしています。
- クラス100,000(ISO Class 8相当)の環境での包装・保管作業
- 温湿度・粒子数を管理できる専用保管エリアの完備
これらにより、製造メーカー様が確保した清浄度をそのまま維持できる体制を整えています。
製造時の清浄度を保ったまま、医療機器を安全に医療現場へお届けしたいとお考えの方は、ぜひご相談ください。